ハナヘナ

これを読めばインディゴ染めがわかる!『白髪を染めるインディゴ染め』と『布を染める藍染め』の違いとは?

インディゴの染まりの仕組みを知ろう
ヘナ坊
ヘナ坊
ハナヘナにかかせないインディゴなんだけど…これってどんな理屈で色が出るのかな?ヘナと同じ?

 

いっぺい
いっぺい
ヘナと同じ植物性の色素をもつけど、染色の仕組みは全然別のものなんだよね。見ていきましょう☆

ちなみにこの辺のサイトに書いてあることを参考にまとめさせていただいております。

藍染の染色挙動に関する理論的考察

あとですね、あくまで布に染める染色方法からの引用なので100%髪でも同じこと起きてるかっていうとわからないです。多分合ってるとは思いますが。

インディゴとは?どうやって染まるの?

インディゴってなに?色素は?

インディゴというのはいろいろ種類があります。

インド藍、タデ藍、琉球藍、ナンバン藍…ハナヘナのインディゴはその中でもマメ科のインド藍です。

ヘナと同じで葉っぱの中にその色のもとである物質があるわけです。

中学校の時に習った構造式でいうとこんな感じです。

インディゴ

インディゴの構造式

これは水にほぼ溶けない藍色の物質です。

こいつが髪の中(または表面に)にたくさん存在すれば濃く染まるってことですね。

つまり白髪を染めるときのポイントはこの物質がどうやったら髪にいっぱい存在できるかということです。

インディゴがたくさん白髪の中にあればしっかり染まる!

インディゴ染め(藍染め)の種類

で、次に藍染といわれるものにも3つほど技法があるということをご紹介。

①発酵建て ②化学建て ③生葉染め

この三つ。

①と②は染色の仕組みはほぼ同じですが③はまったく別物です。

いわゆる布を染めるときのインディゴ染めというのは①と②、髪の毛を染めるには③の技法を使います。

発酵建て、化学建て

①の発酵建てはジーンズを染めるときに昔ながらの方法で手工業的に染める方法。

②は大量生産で工業的に染める時に使います。

いっぺい
いっぺい
どっちも理屈は同じです

①と②は上のインディゴの構造式でいうとOのとこにHが引っついたロイコインディゴ(水に溶ける)というのを作り、それを布に染みこませたあとにさらに酸化させてインディゴにもどすという方法をつかいます。

①はそのときに菌を使って発酵させることでロイコインディゴを作り②はアルカリ剤を使ってロイコインディゴを作るかの違いです。

これはもう技法ができてるのでやりやすいんですね、普通藍染めっていうとこれら(特に化学建て)を使います。

なにせロイコインディゴをどんどん作ってしまえばどんどん濃度は上がるわけで、それに比例して染まりは濃くなるわけです。

ヘナ坊
ヘナ坊
染まりがいいなら白髪染に使ったらいいじゃん!なんで使わないの?
いっぺい
いっぺい
それは作り方がかなり危なーいものを使うからです

①の場合なら石灰や灰汁と還元菌を使ってインディゴをゆっくり還元します。

何日もかけて手間暇かけて高濃度のロイコインディゴ溶液を作ります。

時間はかかるわ溶液は強アルカリ性だわで人体にはまず使えません。

②なら水酸化ナトリウム(強アルカリ性)を使うので肌がただれちゃいます。布だからできるって話。

ヘナ坊
ヘナ坊
ヒィッ…おそろしやおそろしや…やめとこ…。

生葉染め

というわけでいちばん人体に害がなさそうなのは③の生葉染めなんです。

単純にインディゴの葉っぱをすりつぶした液体に染めたいものつけて染める方法。

工程も白髪染めのときに使ってるのとおなじなのでこの仕組み(のハズ)。

あゆ
あゆ
それでは解説してみましょう☆

インド藍の葉っぱのなかにはインジカンという物質がございます。

インジカン

インジカンの構造式

これですね。左側のグルコースにインドキシルっていう右側のが引っ付いてます。

これは水に溶けます。

これを水に溶かし葉っぱの中のインジカナーゼという酵素によって真ん中の―O―のとこが切れます。

逆にいうと、インジカナーゼがいないとまあまず切れません。

切れないということはインディゴになれないので染まりが悪くなるということです。

なので粉を熱湯で溶かそうとするとこの酵素が失活しちゃうので染まらなくなります。

要注意ですね。

インジカナーゼがないと染まりは格段に悪くなる!

インドキシル

インドキシルの構造式

インドキシル単品になります。

これも水に溶けます。

いっぺい
いっぺい
あれ?よーくみるとインディゴに似てますよね~?

インディゴ

インディゴの構造式

ヘナ坊
ヘナ坊
 あ!インドキシルが2つくっつくとインディゴになるんだ! 

 

インドキシルはすごく不安定なんです。情緒不安定。恋多き中学生ですよ。

プラスとかマイナスとか偏った考え(?)をもってるんです。

髪の毛をつくってるタンパク質(ケラチン)は同じくプラスやらマイナスやらあるのでインドキシルくんは引きよせられます

そこ(髪の中)で出会うふたつのインドキシル…!!

だがしかし。

近よるだけではダメなんです。なにせ中学生ですからね、もうひと押し必要なんです(笑)。

そこで酸化というものが必要になってくるわけです。

それに24時間から48時間必要となります。じわじわ髪の中で空気に触れて酸化結合。

これによりようやくインディゴが完成するわけです。

ヘナ坊
ヘナ坊
なるほど、まとめてみたらそんなに難しくないね。
いっぺい
いっぺい
化学建てと生葉染めをごちゃまぜにしなければそんなに難しい仕組みじゃないね。

ここまでをまとめると…

インディゴになったあとは水には溶けないので基本的には抜けません。

でも髪がこすれたりシャンプーしたり紫外線や濡れたときのpHの影響なんかで抜ける(分解)こともあります。

要点まとめ

・インディゴを使った染色方法には化学建てと生葉染めがあって、白髪染には生葉染めの仕組みが使われる

・葉っぱの中のインジカンがインジカナーゼという酵素によってインドキシルになる

・インドキシル2分子が髪の中で酸化されてインディゴになる

とりあえずこんなメカニズム。

いっぺい
いっぺい
これがインディゴでの白髪染めと藍染め(布)の違いです

より濃くインディゴで染めるには?

それでですね、ここからは白髪染めとして重要な問題、

『どうやったらインディゴがより早く濃く染まるのか』

です。

インディゴが白髪に染まっていく過程を見ながら考えられることを見ていくと

①インジカンの量を増やす

②インジカナーゼを増やす

③水分量

この辺がポイントかなと。ひとつずつ考えてみましょう。

①インジカンの量を増やす

インジカンの量が多いと結果インドキシルの量がふえることになります。

ですが。

インジカンの濃度を上げる

インジカンの濃度だけを上げようとするなら人工的にインジカンを添加しないといけなくなります。

そうするとすでに天然100%の枠を外れてしまうのでこれではダメです。

ケミカルインディゴってことですね。

粉を溶くお湯の量を減らす

溶質(粉)の量は変えられないのなら溶媒(お湯)を減らすしかインジカンの濃度を上げる方法はないですね。

たしかにこれはある程度有効なんですが、やりすぎるとそもそも髪の毛に浸透するほど水分量がなくなる恐れがあります。

粉なので水が少ないと塊になるだけで髪にもひっつかない。

濡れた髪の毛に塗布する分にはいいんですが、乾いた髪に塗布するなら色素がしみこむほど水分量がないのは本末転倒です。

じゃあどうする

染色はぬる量次第ということになります。

ヘナ坊
ヘナ坊
ケチらずどばっと使ってインディゴの染める力を最大限引き出すのがポイントなんだね!

②インジカナーゼを増やす

インジカンについてるインドキシルとグルコースを分ける酵素ですね。これもまたこれだけ添加するわけにもいかないので現実的ではないです。

ですので、増やすことよりも存在するインジカナーゼを最大限生かす!事の方が重要となります。

前述しましたが、粉をお湯でとくときにアツアツのお湯をいれるとこの酵素がこわれちゃうんです。

ヘナ坊
ヘナ坊
酵素はたんぱく質だから熱に弱いんだね!
いっぺい
いっぺい
そういうこと。卵を焼いたときのように一度熱して変質するともう元には戻らないんだ

というわけでお風呂程度の熱さのお湯で溶きましょう。

もちろんタンパク質なんで強アルカリや強酸にも弱い(生物を扱う感覚)ので余計なものは添加しないようにしましょう。

③水分量

水分には重要な役割が3つあります。

インジカンがインドキシルに加水分解されるのに必要

インジカンの構造式

水がないと酵素も働けません。

動けませんからね。

インドキシルが髪に引っつきにいくにも水が必要。

水に溶けたインドキシルが動くには水分がないと動けません。

髪にしみ込まないし、そもそも届かない…。

インドキシルが他のインドキシルに出会うにも水が必要

インドキシルが髪に寄っていくのと同じように、インドキシル分子が他のインドキシル分子と出合うのにも水分が必要です。

ヘナ坊
ヘナ坊
水があり過ぎて濃度が下がることもあるけど、ある程度じゅうぶんに水分がないと不具合の方が大きいんだね!

ここまでをまとめると

よく染まるにはまとめ

①人肌程度の熱さ

②垂れない程度の水分量

ということになります。

もともとインディゴは染まり方にもムラがあって扱いがむずかしい染料です。

粘りが少ないので塗った後も顔の方に垂れやすかったり…。

しかしうまくその能力を引き出してあげるとヘナのオレンジだけでなくブラウンやグレー、二度塗りでダークブラウンなどいろんな色が引き出せるので白髪染めユーザーにとっては強い味方になります。

インディゴで気を付けなければならない特性

なぜインディゴで白髪染めするときは塗る直前にお湯で溶かなければならないか

インドキシルはそんなに安定した物質ではないんです。

インドキシルの構造式

インジカンが水にとけて加水分解→インドキシル→インディゴ

という反応はまずまずサクサク進みます。

だからさっさと髪の毛に塗ってしまわないと髪に浸透する前に溶液中でインディゴになっちゃいます。

溶液中でインディゴになってしまうと、もう水に溶けない状態なので髪の中にも浸透しません。分子量も大きくなってさらに髪の中にも入らないんですね。

ヘナ坊
ヘナ坊
白髪を染めたければインドキシルのうちに浸透しないと染まらないってことね…

  

これがインディゴは使うときお湯に溶いたらすぐ塗らないといけないっていう理由。

また、こういう理由からインディゴを使ったハナヘナを使うときは放置時間は長くて2時間、なんです。

そう、2時間程度で溶液中で全部インディゴになっちゃうわけです。

いっぺい
いっぺい
ハーバルブラウンやハーバルマホガニーの場合、インディゴは2時間で染まり具合が止まるけど、ナチュラルはそのまま染まり続けます。染まりのバランスが変わるので狙った色にならないよ

インディゴで染めたら紫色になる問題

インディゴつかった施術でたまに白髪が時間経過で紫色っぽくなる人がいます。

紫色の髪

こんな感じに。

これはインディゴの脱水縮合反応でちょっと構造がかわってインジルビンってものができるせいです。

インジルビンの構造式

これね。

このインジルビンは赤色っぽいのでほかに残ってるインディゴの青とあわさって紫にみえるようです。

これをどうにかするのはかなり難しいです。

布であれば熱湯につけたりアルコール液につけたり2日間水にひたしたりすればおさえられるようですが、髪の毛じゃねえ…。

この解決方法は

①インジカナーゼを失活させる(壊しちゃうってこと。でもこれどうにかしようとすると髪も頭皮もタンパク質だからむずかしいかも?)

②水分を与えつづけることで脱水縮合反応をおさえる(要は乾かさなければいいけど2日間は現実的じゃない)

これがキモなようです。

詳しくは

雑学的補足

あとですね、インディゴは青、インドキシルとインジカンは無色なので染めた直後の緑色はインディゴの色ではありません。

あれは葉っぱの葉緑素。まあ全部が全部そうなわけじゃないけど(もちろんインディゴもある)、ほぼクロロフィルの色でしょう。

なので緑が薄い=染まりが薄い、ってわけでも、緑が濃い=染まりが濃いってわけでもないようです。

見分けるのは困難。

ヘナ坊
ヘナ坊
緑色が濃けりゃいいってもんでもないってこと?
いっぺい
いっぺい
濃いにこしたことはないけど、緑が薄いからってその後の本当に狙った色が薄いわけじゃないってことだよ

ここまでのまとめ

白髪染めにインディゴ使って論文かいたっていうのが見あたらないんですよね~あればそれ一発ですむんですが(;^_^A

ただ、これもただの理論であってそれ以上でも以下でもありません。

振り回されないようにしましょう。

やっていいことやってはダメなことだけ知っておいてもらえればと思います。

いっぺい
いっぺい
できるだけ白髪をしっかり染めたい気持ちはわかりますが、結局天然100%なのでそこをいじることはやっちゃいけない思ってます 
ヘナ坊
ヘナ坊
あと何かできるとしたら素材である髪の方に工夫した方がいいかも?

そのあたりはまたの機会に。

ABOUT ME
いっぺい
ハナヘナ正規取扱店です。 鳥取大学を卒業して理容師になったというちょっと変わり種。 バリバリ理系なのでエセ科学大嫌いです。 ヘナのホントのところを裏表なく公開中! ハナヘナ最高です☆
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